禅宗における坐禅とは?坐禅の本当の意味や瞑想との違いを徹底解説

禅宗における坐禅とは?坐禅の本当の意味や瞑想との違いを徹底解説

曹洞宗の教えは、坐禅に始まるともいわれています。坐禅には、「足が痛くなるのを我慢する修行」、「何も考えないようにする」というイメージをもたれる方もいますが、自分を見つめ直したり、身体を安定させたりする効果もあるのです。

そこで今回は、坐禅の本当の意味や「座禅」や「瞑想」との違い、宗派による違いなどについて解説します。坐禅について詳しく知りたい方方は、この記事を参考にしてください。

坐禅とは?

坐禅とは、正しい姿勢で坐り、精神統一を行うことです。禅宗における基本の修行ともいえます。

仏教の開祖であるお釈迦様は、インドにあるブタガヤの菩薩樹の下、7日7晩の坐禅を行った後に悟りを開かれました。現代でも、坐禅をすることで心の働きを整えることができます。

坐禅の「坐」とは?

坐禅の「坐」という言葉には、「すわる」という意味があります。坐禅における「すわる」とは、一切の邪念から離れて、普遍的なものは存在しないという無我の状態で精神統一をすることです。そのため、坐禅をするときには、動かないように安定させることが求められます。

坐禅の「禅」とは?

「禅」は「禅定」ともいいます。サンスクリット語では、「dhyana」という言葉が用いられ、字義的には「静慮」という意味があります。静慮は、心を落ち着かせて考える、または落ち着いた心の状態を指しており、身、息、心の3つが統一されていることを意味しています。

「坐禅」と「座禅」の違い

坐禅体験や坐禅のセミナーなどを行っているところでは、坐禅のことを「座禅」と表記しているケースもあります。

坐禅と座禅の意味は、どちらも、「座る」です。しかし、「座」には、座る場所についての意味合いが強く、「坐」には、座る動作そのものを強調しています。そのため、漢字で表記する場合は、座っている動作を重視する「坐禅」と表記するほうがふさわしいといえるでしょう。

加えてお釈迦様は、建物の中ではなく菩提樹の下で坐禅を行われました。お釈迦様が屋根のないところで坐禅を行われて悟りを開いたことを考えるならば、坐禅という表記のほうがふさわしいといえます。

「坐」という言葉が常用漢字ではないために座禅という言葉を用いていることもありますが、坐禅では座っている動作の状態が大切であることを覚えておきましょう。

坐禅と瞑想の違い

坐禅に似た動作として、「瞑想」があります。坐禅と瞑想には似ている部分もありますが、大きく異なるのは目的です。

瞑想とは、目を閉じた状態で姿勢を正して、心を何かに集中させることを意味しています。瞑想を行うことで集中力を高めたり、睡眠の質を上げたりすることが可能です。また、ストレスを軽減させて、精神を安定させるという効果も期待できます。

坐禅についても、瞑想と同じように正しい姿勢を保ちます。しかし、目に関しては、見開いたり細めたりしない半眼の状態を続ける点が異なるのです。また、瞑想とは異なり、心の状態は常に無であるようにします。つまり、自分の存在を捨て去り、自分という物体だけが座っているという感覚が求められるのです。

加えて瞑想は、安定や幸福を目的としているのに対し、坐禅には目的がありません。坐禅を行うことが、坐禅の本当の目的といえます。

宗派によって異なる坐禅

坐禅は禅宗にとって、重要な修行のひとつです。しかし、坐禅は宗派によって異なります。

日本におけるおもな禅宗として、臨済宗と曹洞宗があります。どちらも坐禅を修行の中心としていますが、臨済宗は壁を背にして坐禅を行うのに対し、曹洞宗では壁の方を向いて坐禅を行います。

坐禅を行うと、邪念が入る、眠くなる、姿勢を乱すなどが起こりえるでしょう。そのような場合、僧侶が樫木や栗の木を使って肩をたたく「警策」を行います。

警策を行うときも、臨済宗は前から背中のあたりをたたくのに対し、曹洞宗では後ろから右肩をたたきます。ただし、警策を行うときには、どちらの宗派も軽く左側へ頭を向けるようにするのが基本です。

一回の坐禅は線香一本分が基本

現在では、多くの寺院で坐禅を行うことができます。一回の坐禅の時間は、線香一本分の焼ける時間で、およそ30~40分です。坐禅が終わったら、静かに目を見開いて合唱を行いましょう。

まとめ

坐禅とは、正しい姿勢で坐り、精神統一を行うもので、禅宗にとっては基本の修行です。坐禅を行うときには、心や頭の中の状態を無にします。自分の存在を捨て去り、自分という物体だけが座っていることが大切です。

瞑想には集中力を高めるという目的がありますが、坐禅は目的を持ちません。坐禅を行うことが目的であるということを意識しましょう。

「正因寺」では、毎週日曜日に坐禅会と朝のお勤めを行っています。坐禅を行うことで思惑や欲にとらわれず、精神の安定をはかれます。坐禅を行いたい方や心を無の状態にしたいという方は、「正因寺」にお問い合わせくださいませ。