日本人には馴染み深い仏教。お彼岸や除夜の鐘など、私たちの生活に深く浸透しているものもある一方、多くのお寺の年中行事は、参加をためらってしまうかもしれません。
しかし、数多くある年中行事のなかでも、一般の方でも楽しく参加できるものがたくさんあるのは、あまり知られていないのではないでしょうか。
今回は、詳しく年中行事の意味や時期をご紹介します。ぜひお寺の行事に参加してみてください。
代表的な年中行事ご紹介
仏教の年中行事とひとくちにいっても、宗派などによって行事の内容は若干異なります。まずは、代表的な年中行事をご紹介しますので、あらためてその意味や教えを学んでいきましょう。
修正会(しゅしょうえ)
時期:1月1日〜3日
修正会は、その名の通り、前年に前年の悪行を反省し、新しい年を祝い、よい一年になるように祈願する行事です。
涅槃会(ねはんえ)
時期:2月15日
「涅槃」とは、お釈迦さまが亡くなったことを意味します。お釈迦さまが亡くなった日に、涅槃会という法要を行います。
日本で最古の涅槃会が行われたのは、推古天皇の時代であるといわれています。涅槃会の際に掲げる涅槃図には、入滅されたお釈迦さまが描かれており、ここでお釈迦さまが北に頭を向けて横たえられていたため、死者を北枕で弔う文化ができたのです。
灌仏会(かんぶつえ)
時期:4月8日
灌仏会は、お釈迦さまが生まれた日をお祝いする法要です。一般的には「花まつり」とも呼ばれています。日本では606年から灌仏会が始まり、その後宮中行事になり、徐々に日本中に広まるようになりました。
花まつりには、お釈迦さまの仏頭に甘茶を注ぐのが有名ですが、その由来は、お釈迦さまが生まれたときの伝説に遡ります。お釈迦さまが生まれたときに、天に9匹の竜が現れて「甘露の雨」を降らせたとの伝説を模して、花まつりには甘茶を注ぐ習わしが始まったといわれています。
施食会(せじきえ)
時期:宗派によって異なる
施食会は、執り行う時期に決まりはありませんが、お盆の時期に盂蘭盆会と合わせて行われるところが多いようです。
施食会は、先祖の供養とともに、飢餓道や地獄に落ちて苦しんでいる霊の供養を行う法要です。最近では、飢餓の供養を行うことで徳を積み、自身の救いにもつながると考えられています。
また、曹洞宗では、施すものと施されるものの間に上下をもたないという考えのもと、「施餓鬼」という呼び名を忌み、「施食会」と呼ばれています。
成道会(じょうどうえ)
時期:12月8日
成道会は、お釈迦さまが悟りを開かれた日に行われる法要です。禅宗では12月1日から8日の朝まで、不眠不休で坐禅を行う「蝋八摂心会」が行われることで有名です。
馴染み深い年中行事
ご紹介した行事のほかにも、お寺で行われる年中行事はたくさんあります。私たちの生活に深く根付いている行事ですが、意外にその意味をよく知らずに行っているかもしれません。そんな行事をいくつかご紹介します。
節分会(せつぶんえ)
節分で有名な節分会は、豆まきや鬼のビジュアルから、老若男女まで広く知られている行事です。
節分とは、そもそも春夏秋冬の季節をわける日のことを指し、本来は1年に4回あるものです。しかし、大晦日にあたる春の節分が1年で一番重要であったことから、一般的には旧暦の春の節分である2月3日だけを「節分」と呼ぶようになりました。
盂蘭盆会(うらぼんえ)
盂蘭盆会は、いわゆる「お盆」と呼ばれている行事で、7月13日〜15(16)日、または8月13日〜15(16)日までの期間で行われる法要です。ご先祖さまを極楽浄土から家にお迎えして供養し、最終日には霊を送り出します。
一般的には13日にお墓参りに行き、玄関で迎え火を焚き、先祖の霊をお迎えします。その後ゆっくり過ごして、15(16)日には精霊送りを行います。「大文字送り火」や「精霊流し」など、精霊送りは盛大に行われることが多いようです。
年中行事に参加するときのマナー
年中行事に参加する際には、最低限のマナーは守るようにしましょう。気をつけたいマナーをご紹介します。
服装はどうしたらいいの?
初めてお寺の年中行事に参加するときに気になるのが、服装マナーです。仏教行事だからといって、喪服や黒にこだわる必要はまったくありません。
しかし、あまりに露出度の高い服やビビッドな色合いは避けたほうが無難です。また、殺生を連想させるヒョウ柄、ヘビ柄などは避けます。ご先祖さまを敬い、あまり華美にならないような服装を心がけましょう。
お布施は必要?
基本的にどなたでも参加できるような行事であれば、お布施の必要はありません。しかし、個別に法要を依頼した場合などはお布施が必要となりますので、必ず事前に確認しましょう。
まとめ
普段なかなか接する機会のないお寺の年中行事ですが、実はいろいろな行事を行っていることがおわりいただけたでしょうか。
お墓参りだけではなく、お寺のさまざまな行事に参加してみると、今まで何気なく過ごしていた行事も、違った視点でみえるようになるかもしれません。
「正因寺」でも、1年を通してさまざまな行事を行っています。ぜひ一度、お気軽にお越しくださいませ。